【第10回 児童文学 草原賞】(最終回)
選考結果
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草原賞 (表彰状、副賞10万円)
「ぼくとまゆみ」 (古田島由紀子)
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佳作(表彰状)
「筬のひびき」 (木下あこや)
「草原の赤いポスト」 (門田たかのり)
第10回「児童文学草原賞」選考経過
最終回となった第10回草原賞の募集は昨年10月31日に締め切りをし、応募作品の総数は94編だった。
内訳は道内が19編、道外からは東京都18編、神奈川県9編、大阪府、千葉県各6編など26都府県から75編の応募があり、全体では94編となった。
1次選考では、日本児童文学者協会北海道支部の柴村紀代、升井純子、三浦幸司の各選考委員がそれぞれ推薦した計12作品を通過とし、昨12月16日に中澤千磨夫(非会員・国文学研究者)を加えた4名で2次選考の各作品についての討議の結果、3編に絞り込んだ。これらの選考に当たっては応募者の氏名・住所を伏し、応募作品の内容について検討した。
以下に1次選考で通過した12作品を、受付け順で紹介する。○印が2次通過の3編である。
〇「ぼくとまゆみ」 古田島由紀子(東京都)
「首輪さん」 日下れん(北海道)
〇「筬(おさ)のひびき」 木下あこや(福井県)
「はしっこ歩き」 森俊(神奈川県)
〇「草原の赤いポスト」 門田たかのり(東京都)
「ともだち」 竹宮竜(大阪府)
「春は光と風に乗って」 土井尻憲宣(北海道)
「野鯉」 依田秀人(長野県)
「おやすみ、ロゼ」 マルクス・ホセ・アウレリャノ・シノスケ(大阪府)
「月夜見沢―三人のヤマメ釣り」 岩本和博(東京都)
「元気が出るココア」 麦野圭(神奈川県)
「移動スーパー 銭屋に乗って」 ひまが京子(三重県)
1月13日に、2次選考通過の3編について最終選考を実施した。これには柴村紀代、中澤千磨夫、升井純子、三浦幸司の各選考委員、および通話により丘 修三(児童文学作家)に選考参加をしていただいた。
検討の結果、草原賞「ぼくとまゆみ」(古田島由紀子)、佳作は2名、「筬のひびき」(山下あこや)、「草原の赤いポスト」(門田たかのり)と決定した。
こうして「草原賞」全十回を終えて思うのは、賞の目的である「地域から生まれる児童文学は、どうあるべきかを問う」ことが、どれほど児童文学の作者たちに伝わったのか、その成果を見届けるまでにはまだまだ不十分で主催者として心残りもある。
ただ、地方の一支部として非力ながらも、資金力のある出版社などに頼ることなく児童文学界に一石を投じた価値はあったと思う。
最後に、「草原賞」を創作しての応募、さらに宣伝、選考、事務作業などあらゆる分野で10年間支えていただいた方がた――もちろん、この賞を提唱した天上の加藤多一にも、「ありがとう」と心からの感謝を表したい。
そして、受賞者をはじめすべての応募者、一人ひとりの胸の中から「草原賞」という花の種がきっと豊かに芽生えることを信じている。